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 は じ め に

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○ スキーがもつ意義

 日本のスキー人口は、 現在1,700万人を超えるともいわれています。 白銀の山野を乱舞するこのスポーツの魅力はたとえようもありません。 近年、 スキーの楽しみ方が多様化するとともに、 スキー以外にもさまざまな雪上のスポーツが加わるようになってきました。

 また、 積雪地帯は日本の面積の半ば近くを占め、 その多くが過疎の土地であります。 スキーの発展は、 その地域の生活と文化を支える貴重な産業を育てるとともに、 用具の製造販売・交通運輸・旅行・観光・教育・出版・広告などの分野でも、 国や地方の経済発展に貢献するようになりました。

 私たちは、 スキーを中心とするこれら雪上のスポーツの健全な発展を、 第一には国民の心身の健康のため、 第二には積雪地域社会の福利増進のため、 第三には国や地方の経済発展のため、 極めて大切なものと考えます。

○ 安全基準必要の根拠

 スポーツはすべて、 どのように注意してもそれ自体に危険を内蔵しているきらいがあります。 中でもスキーはスピードを伴い、 自然環境の中でめいめいが自由に振舞う個人スポーツであって、 危険を避けるためにはそれなりの知識を持ち、 滑走にあたっては絶えず緊張と適切な判断力が求められるという独特な性格を持っています。 そのうえ、 コース上の賑わいが益々進むいま、 スキーをはじめ雪上のスポーツにかかわる人々には、 安全に対する配慮が他のどのスポーツにも増して一層きびしく要求されます。

 近年特に、 正しい技術の普及・用具の性能の向上・スキー場の安全対策の推進などで傷害事故防止の努力が進められていながら、 スキーヤー同士や物体との衝突事故が目立ち、 なお重大事故が発生します。 スキー以外の雪上のスポーツの事故も混じるようになってきました。 事故に基づくさまざまな紛争も増えるおそれがあります。 これらは、 まことに悲しむべき事態であるとともに、 スキーの健全な繁栄のためにも憂慮すべきことであります。

○ 安全基準策定の事情

 1900年代に入る頃からヨーロッパやアメリカでは、 規制が過ぎてスキー本来の魅力を失うことのないよう“許容限界”を求めながらも、 人々の生命・身体・財物の保護という一般的原則に基づいて、 事故を防ぐための措置と行動の規範を示すことが、 スキースポーツの健全性を維持するために必要と考えられてきました。 そこでこれらの地域では、 早くから 「スキーヤーの行動規則」 や 「ウィンタースポーツ地域の安全確保に対する最低基準」

などを定めて、 その普及と推進に努めています。 さらに進んで、 国や自治体がスキーにかかわる人々が遵守すべき安全義務を法令で定めている例もあります。

 わが国でも、 不幸な事故を防ぎ、 スキーをはじめ雪上のスポーツを安全で楽しいものにするために、 それらのスポーツにかかわる人々の合理的で統一的な安全義務を明らかにし、 手引きする必要が痛感されます。 またそれが、 本協議会創設の時に掲げた理念と期待に応える緊急の課題であると判断しました。 この安全基準の初版は、 内外諸先輩の業績に導かれながら、 現在の国際的な社会通念に基づき、 全国スキー安全対策協議会が数年にわたる調査研究の末、 1989年に公表したものであります。

○ この基準の性格と取り扱い方

 この 「国内スキー等安全基準」 は、 関係者それぞれの基本的な安全義務を取りまとめたものでありますから、 細かい指導要項については、 必要に応じて関係団体や各事業者で定めて頂くこととし、 また、 普及についても、 適切な方法を選んで頂きたいと考えております。

 今後、 さまざまな雪上のスポーツが参入することも予想されますので、 この基準はスキーのみに限らず、 あらゆる雪上のスポーツに適用されることを考慮しております。 さらにまた、 スキー場外で行われる雪上のスポーツ行動の安全にも、 この基準が寄与することを期待しております。

 この基準の浸透によって、 わが国のスキーをはじめ雪上のスポーツに、 より明るい未来がもたらされることを念願します。

○ 1994年改訂について

 最初の公表から5年が経過しました。 策定に当たってはもちろん、 改訂に際しても熱心な提言がおびただしく寄せられ、 各界おおぜいの参加によって成案が生まれたことに深く感動しております。 また草案の起草中に、 スキー事故の民事訴訟事件の判断の参考に採り上げられたことなど思わぬ反響もありました。 この10年来スキー事故に数多くの裁判事例が出されてきた点をも参考として見直しを進めて参りましたが、 逐一検討を繰り返すとともに、 易しい言葉づかいに努めながら文章整理を行い、 条項の置き替えと加除・改廃を少しばかり加え1994年改訂版としました。

平成6年 (1994) 8月29日

全国スキー安全対策協議会

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